帰ってきたぎんちゃん

~脱走猫ぎんちゃんを外飼い猫に~

横になって眠るぎんちゃんのお腹が呼吸で上下するのを、ただ、眺めているのが好きだ。この感覚をどう表現すればいいのだろう。傍らに小さな生き物が息づいていて、この同じ世界を、私とは異なるひとつの意識で受け止めている。そんな当たり前のことを感覚のみで存分に味わう。濃密な時間の中に入って行く・・・。(2018/06/24)


ぎんちゃんが、付いて来る・・・

ある日のこと、コンビニに行こうと外に出ると、車の下からのそっとぎんちゃんが現れた。「ぎんちゃんそんなところにいたのか~。ちょっとお買い物に行ってくるからね~。」と手を降って門を出た。

少し歩くと、ぎんちゃんが背後からやって来て私を追い抜いた。後になり先になり、小走りに付いて来る。「おお、ぎんちゃん?お見送りしてくれるの?か~わいいなあ~♡」道の真ん中を先行したり、高層マンションの敷地の中を並走して来る。角に差し掛かると草陰に見えなくなった。

買い物を終えて戻ると、再び現れたぎんちゃん。脇を並走、後になり先になり、家まで一緒に。ガレージに入ると座り込み、おもむろに毛づくろいを初めて知らんぷりを気取ってる。こういう猫のツンデレってなんなんだろ?照れて誤魔化しているように見えるけど、それは人間の行動に寄せ過ぎた目線かな。実のところは、一瞬にして気分が切り替わるっていうことなのだろう。猫の辞書には「後ろ髪引かれる」の類の表現は無いんだろうな。一瞬のハンティングに命をかけるネコ科動物にそんな暇は無いってことか。

外出のタイミングにぎんちゃんが庭にいることはあまり無いので、この一度っきりのこと。小走りに私を追い抜く楽しげなぎんちゃんの回りに、「♪♪♪」って感じのマークが散らばっているように見えた。

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